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五・虹・五・虹・虹

齊藤智都

カラフルな『無題』と名乗る四角形滲みの奥の声を聞かせて

です・ますは気づけば溶けてなくなってあなたと僕はキャンバスのうえ

風に舞う羽根を必死に打ち返しもうほかほかのダウンジャケット

寒空のベンチでちょっとひとやすみ立ち上がったら尻型の汗

みぞれ舞うサイクリングはびしょ濡れで二人は笑う罰ゲームかと

目覚ましの次に聞こえた発車ベルねぼけまなこの新横浜で

正確な位置情報を測るにはまずきしめんを立ち食いします

和やかな夜の終わりの指定席 倍速で遠ざかる気がした

零時過ぎ横浜線に揺られても位置情報は迷子のままで

空っぽの写真フォルダにくっきりとまばゆい夜は焼き付いていて

丸善の喫茶店にもスーツ、スーツ、スーツ どこでも買える東京ばな奈

ワーク・ライフ・バランスとかいうけれどリモートワーク≒リモートライフ

今日ですか?甲羅を干しに出社です。はい、亀の血を引いているので。

月曜に追われて逃げてカラオケへ ここは金曜日大使館だ!

好きなだけソフトクリームを食べるとき喉仏とか引っこんでるよ

小窓から身を乗り出して見る花火 映画にはない今夜が好きだ

中秋の小雨の夜の住宅地ここがいいよね殺されるなら

木枯らしを切って駆けてく夜十時買ったばかりのケーキ抱えて

天井に差し込む青がまたたいて二人は笑う新居の夜に

地鳴りする夜間工事にうとうとと二重窓への愛をささやく

悪気なく羽根は回され飛ばされて気づけば部屋が床屋になった

物憂げな空き缶ひとつと車止めそれは小さな小さな廃墟

またひとつ知らないアイスが増えてるよまだ薬屋と言い張るつもり?

血が滲む?ほんと?ほんとに血が滲む?辞書の中から来たとかじゃない?

燃え盛る承認欲を止めるため強めのWAFを処方しますね

プレステが最後に吐いた虹色のノイズのうえを走る桃鉄

東京文芸部ZINE vol.2(テーマ「滲」)寄稿
全二十六首